男が会社を辞めるとき

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夫婦のカタチ

いつごろからだっただろう。社員同士がもめていると聞いた。夫は管理職。部下のもめごとは話を聞く立場。

それがもう数か月も続いた。セクハラだとかパワハラだとか女性が言い、直属の上司である男性の話を聞き女性の話を聞き解決の糸口はどうしても見つからず平行線だったと聞いた。

いやいや、だからってあなたがやめることないじゃない!私は反対した。なのに夫は定年前の63歳で職を辞した。管理職は70歳までOKだったはず、どうしても折れない私に最後の切り札として「もう体がもたないんだ。」という。長年患っていた糖尿病、そこからだんだんと合併症も。「上の階の喫煙室に登る階段も一苦労」などというのでじゃ―仕方がない‥と返事した。

20代のころ、社内結婚だった。敏腕営業マンだった、この人なら!と希望を持ったのかもしれない。それからスーツ姿とワイシャツが好きだったのかもしれない。これは男の武器よね、TVで竹野内豊がワイシャツ姿で腕まくりして食器洗っててもキュンとする。

それがね、持ってたスーツ 退職の翌日 全部捨てたの。ネクタイも。仕事に必須のライセンスも更新しなかった。よっぽど捨て去りたかったのね。

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